葬儀の知識

戒名とは?構成から宗派ごとの違いまで

2023/8/4作成

2023/8/4更新

戒名(かいみょう)は、仏様の弟子に授ける新しい名前であり、元々は出家して仏門に下った人に戒律を守る証として贈る名前でしたが、現在は亡くなった人に授ける名前のことを指します。仏教の教えでは、戒名で葬儀を行うと迷いなくあの世に旅立つことができると言われているため、故人の生前の功徳を称え、出家していない方でも安らかに極楽浄土へ行けるようにという願いを込めて授与されます。また、戒名を残すことで故人の功績や人となりを子孫に伝えることができます。

目 次

戒名の由来

仏教の発祥地であるインドには戒名を授ける風習が無いため、戒名は仏教が中国に伝わった段階で初めて生まれたと考えられています。日本には中国から仏教と共に伝来しましたが、亡くなった人に戒名を授ける文化は日本独自のものです。戒名が一般の人に広まったのは江戸時代以降です。檀家制度の誕生によって庶民の葬儀を寺院が行うようになったため、故人の檀家を証明するために戒名を授けるようになりました。身分によって授けられる戒名が違ったため、高額なお金を払って高位の戒名を授かり、自分の地位を誇示する人もいました。

戒名の構成

戒名は「院号」「道号」「戒名」「位号」の4つで構成されています。

 

・院号

元々は皇族や高位の貴族、将軍家のみが使用できる称号であり、現代でも寺院に貢献した人や大きな功績を残した人にのみ付けられます。また、院号に準ずる称号として庵号(あんごう)や軒号(けんごう)を授けることもあります。

 

・院殿号

本来は院号の次に位の高い称号でしたが、現在は院号を使用する人がほとんどいないため、文字数が多く見栄えのいい院殿号が最高位の称号とされています。

 

・道号

元々は悟りを開いた僧侶に授ける称号でしたが、現在は故人の趣味や性格、住んでいる場所を表すために付けられます。また、幼児や未成年者には道号を付けません

 

・戒名

仏様の弟子になった証としてあの世で使用する名前で、本来はこの部分を戒名と呼びます。戒名は必ず2文字で構成され、そのうち1文字は生前の名前から、残りの1文字は経典や仏様の名前から付けられます。その他にも、故人が尊敬していた人物や生前の職業から付けることがあります。また、読みにくい漢字や縁起の悪い漢字、動物を表す漢字は戒名にふさわしくないとされています。

 

位号

戒名の最期に付けられる称号で、故人の年齢、性別、社会的地位によって変化します。男性の場合は侍を意味する「士」の文字が、女性の場合は女性であることを意味する「姉」「女」の文字が付きます

 

・居士(こじ)、大姉(たいし)

特に信仰心の厚く、寺院に貢献した人に付けられます。

 

・信士、信女

仏教の教えを信じて正しく生活する成人した男女に付けられる名前です。現在は、ほとんどの方がこの位号を授かります。

 

・水子

水子や乳児のうちに亡くなった子供に授ける位号です。

 

・童子、童女

4~15歳程度の未成年に授ける位号です。

宗派ごとの違い

・真言宗

1文字目に必ず「アの梵字」を記します。梵字とは、古代インドのサンスクリット語を文字にしたものです。アの梵字は真言宗の本尊である大日如来を表すとされ、故人が大日如来の弟子になったことを意味します。また、子供の戒名には子供を守ってくれる地蔵菩薩を表す「カの梵字」を使用します。

 

・浄土宗

戒名の前に念仏の教えを受けた証として誉号(よごう)を記し、道号の代わりに誉号を付ける場合もあります。また、浄土宗では白木位牌を使用し、1文字目に阿弥陀如来を表す「キリークの梵字」を使用することもあります。

 

・浄土真宗

阿弥陀如来の前ではすべての人が平等という教えに基づき、戒名の代わりに「院号」「釋号(しゃくごう)」「法号」で構成された法名が授けられます。

 

・日蓮宗

日蓮宗には戒律が無いため、戒名の代わりに「院号」「道号」「日号」「位号」で構成された法号が授けられます。日号は「日」の文字と故人の名前から取った1文字を組み合わせます。また、道号には性別を表す文字が入り、男性の場合は「法」女性の場合は「妙」の冠字を付けます。

 

・臨済宗、曹洞宗

白木位牌を使用し、「現世での勤めを終え、元々いた世界に帰る」ことを表す「新帰元」の文字を記します。

戒名を授かる際のお布施

戒名を授かる際は、僧侶にお布施を渡します。地域や菩提寺との関係性によって異なりますが、一般的に30万~50万円が相場だと言われています。また、戒名のランクを上げるとその分お布施の金額も高くなります。御布施を渡す際は奉書紙か白い封筒に包み、中央上部に「御布施」と表書きします。

戒名の注意点

自分で戒名を決めたり、菩提寺以外の僧侶から戒名を授かった故人の遺骨を受け入れてない菩提寺もあるため、注意が必要です。神葬祭やキリスト教式など、仏式以外の葬儀を行う場合、必ず戒名を授かる必要はありませんが、公営墓地や永代供養寺など仏教徒以外も納骨できるお墓を探しましょう。

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