葬儀の知識

墓じまい・改葬の流れと費用|遠方の実家のお墓をどうするか

2026/9/2作成

「実家のお墓が遠方にあり、お墓参りに行くのが難しい」 「将来、お墓を継ぐ人がいない」 などの理由から、近年、墓じまいを考える人が増えています。 墓じまいとは、現在のお墓を撤去し、墓地を管理者に返還することをいいます。 また、墓じまいとあわせて考えることが多いのが「改葬」です。改葬とは、現在のお墓に納められている遺骨を取り出し、別の墓地や納骨先へ移すことをいいます。 墓じまいと改葬は混同されることもありますが、厳密には異なるものです。特に、遺骨を別の場所へ移す場合には、改葬許可申請などの手続きが必要になるため注意が必要です。 そこで今回は、墓じまいと改葬の違いをわかりやすく解説します。それぞれに必要な手続きや費用の目安についてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

目 次

墓じまい・改葬とは?まず押さえておきたい基本知識

最初に、「墓じまい」と「改葬」の意味について、それぞれ解説します。

墓じまいとは

墓じまいとは、現在のお墓を撤去し、墓地を管理者に返還することをいいます。具体的には、石材店などの業者に依頼して墓石を解体・撤去し、墓所を更地に戻して管理者に返還するまでの一連の作業を指します。

改葬とは

一方、改葬とは、現在のお墓に納められている遺骨を取り出し、別のお墓や納骨堂などへ移すことをいいます。改葬する場合は、お墓がある市区町村役場へ「改葬許可申請」の手続きが必要になります。

墓じまいと改葬はセットで行う?

もし、墓じまいをして現在のお墓を撤去し、遺骨を別の墓地や納骨堂などへ移す場合には、「墓じまい」と「改葬」の両方を行うことになります。

お墓の管理や継承に不安があり墓じまいを行う場合は、永代供養付きの納骨堂や樹木葬、合祀墓など、将来的な管理の負担を抑えられる場所へ遺骨を移すケースがあります。このように、墓じまいと改葬はセットで行われることが多いです。

墓じまいをしても改葬はしないケースとは?

一方で、墓じまい後、ご自宅で保管する手元供養や、適切な方法で行う散骨などを選択することもできます。

手元供養や散骨は、別の墓地や納骨堂へ遺骨を移す「改葬」には該当しないため、改葬許可申請の対象にはなりません。

ただし、墓じまいをした後、いったん遺骨を自宅で保管し、後から別のお墓や納骨堂などへ移す場合には、その時点で改葬の手続きが必要になります

「墓じまい」と「改葬」に必要な手続き

墓じまいと改葬は、それぞれ意味や目的が異なります。そのため、必要となる手続きも異なります。ここでは、墓じまいと改葬の違いや必要な手続きを一覧表にまとめました。

墓じまい 改葬
すること 墓石を撤去・墓所を返還 遺骨を別のお墓や霊園、納骨堂などへ移す
主な手続き・やりとり ・現在の墓地・霊園の管理者への相談・返還手続き
・墓石撤去業者への依頼など
・現在の墓地の管理者への埋蔵証明書等の依頼
・自治体への改葬許可申請
・改葬先の管理者との受け入れ手続きなど

墓じまいを検討する主な理由

墓じまいを検討する背景には、お墓の管理や継承に関するさまざまな事情があります。ここでは、主な理由をいくつかご紹介します。

お墓が遠方にあり、お墓参りが難しい

故郷にお墓があるものの、現在の住まいからは遠く、定期的なお墓参りや墓掃除、草むしりなどの管理が難しいため、現在の住まいの近くにあるお墓や納骨堂などへ改葬したいという理由から、墓じまいを検討する人もいます。

お墓を継ぐ人がいない

「子どもがいない」「子どもが遠方に住んでいる」「結婚などで別の世帯になった」などの理由から、お墓の継承者がいないケースもあります。そのような場合、自分が亡くなった後のお墓の管理に不安を感じ、墓じまいを検討する人もいます。

高齢になり、お墓の管理が負担になった

高齢になると、墓地まで足を運んでお墓を掃除したり、草むしりをしたりすることが難しくなる場合があります。また、年間管理料などの経済的負担が重くなり、墓じまいを検討するケースもあります。

子どもにお墓の負担を残したくない

「将来、子どもにお墓の管理や費用の負担をかけたくない」という考えから、墓じまいを検討する人もいます。

自分の代で墓じまいを行い、納骨堂や合祀墓など、将来的な管理の負担を抑えられる納骨先へ改葬するケースも少なくありません。

墓じまい・改葬の流れ|何から始めればいい?

ここでは、墓じまい後に改葬を行う場合の流れをご紹介します。


【墓じまい・改葬の流れ】
1.家族・親族と墓じまいについて話し合う
2.現在のお墓の管理者に相談する
3.遺骨の移転先を決める
4.改葬に必要な書類を準備する(埋蔵証明書・受入証明書)
5.改葬許可申請を行う
6.墓石の撤去業者へ依頼・閉眼供養の日程調整
7.閉眼供養・墓石の撤去・墓地の返還
8.移転先へ納骨する
9.墓じまい後の供養を行う


1.家族・親族と墓じまいについて話し合う

お墓は、家族だけでなく親族にも関わる問題です。独断で決めずに、家族や親族とも相談しながら進めることが大切です。

「誰が墓じまいをするのか」
「遺骨をどこへ移すのか」
「費用をどうするのか」

について、事前にしっかり話し合って決めましょう。

2.現在のお墓の管理者に相談する

親族間で意見がまとまったら、次は、現在のお墓の管理者へ相談します。墓じまいを検討していることを伝え、必要な手続きや流れを確認しましょう。

墓地の種類によっても相談先は異なります。

寺院墓地:寺院・墓地管理者に相談
民営霊園:霊園の管理者・運営者に相談
公営墓地:自治体の担当窓口に確認

また、寺院墓地の場合は、墓じまいに伴って、その寺院の檀家を離れる「離檀」をすることになる場合があります。離檀にあたっては、離檀料について確認が必要になることもあるため、墓じまいを決める前に寺院とよく相談しておきましょう。

3.遺骨の移転先を決める

現在の墓地管理者との話し合いがまとまったら、次に遺骨の移転先を決めます。前述した通り、墓じまい後の遺骨の扱いには、改葬する場合と、改葬せずに供養する場合があります。

【改葬する場合】
・新しい墓地
・納骨堂
・樹木葬
・合祀墓 など

【改葬しない場合】
・自宅で手元供養をする
・散骨(海洋散骨など)

遺骨を別の墓地や納骨堂などへ移す場合は、原則として改葬許可申請の手続きが必要です。一方、手元供養や散骨は改葬にはあたらないため、改葬許可申請は必要ありません。

4.改葬に必要な書類を準備する(埋蔵証明書・受入証明書)

改葬先が決まったら、改葬許可申請に必要な書類を準備します。

現在のお墓の管理者から「埋蔵証明書」、改葬先から「受入証明書」を取得し、改葬許可申請書とともに役所窓口へ提出する流れが一般的です。

ただし、自治体によって改葬許可申請に必要な書類は異なる場合があるため、事前に現在のお墓のある市区町村役場のホームページなどで、必要書類を確認してから手配しましょう。

5.改葬許可申請を行う

必要な書類をそろえたら、現在のお墓がある市区町村役場で「改葬許可申請」を行い「改葬許可証」を発行してもらいます。

「改葬許可申請書」は、市区町村役場の窓口で入手するか、自治体によっては事前にホームページでダウンロードできる場合もあります。

改葬許可申請書には、現在のお墓の管理者による記入・署名などが必要な場合があります。必要事項を確認したうえで、墓地・霊園の管理者に記入を依頼しましょう。

必要事項を記入したら、自治体の案内に従って窓口や郵送などで申請します。申請が受理されると、改葬許可証が交付されます。

6.墓石の撤去業者へ依頼・閉眼供養の日程調整

見積もりを確認したうえで墓石を撤去する石材店を決めたら、撤去の日程を調整します。墓地によっては指定の石材店が決められている場合もあるため、事前に墓地管理者へ確認しておくと安心です。

また、墓石を撤去する前に、墓石に宿るとされる仏様や故人の魂を抜くための「閉眼供養」を行うことが一般的です。

閉眼供養を行う場合は、僧侶にも依頼し、石材店や墓地管理者と日程を調整します。

多くの場合、閉眼供養と墓石の撤去は同日に行われますが、閉眼供養を先に行い、別日に撤去を行っても問題はありません。ただし、墓地のルールで「供養後速やかに撤去すること」などが定められている場合はルールに従いましょう。

なお、閉眼供養を行うかどうかは、宗派や寺院などによっても異なるため、必要に応じて菩提寺などに確認しておくと安心です。

7.閉眼供養・墓石の撤去・墓地の返還

閉眼供養を行う場合は、撤去よりも前に行います。

事前にお墓の掃除を済ませ、お供物を供えておきましょう。僧侶が到着したら、お布施やお車代などをお渡しします。その後、僧侶による読経、参列者による焼香を行い完了となります。

閉眼供養後は、お墓から遺骨を取り出し、依頼した業者が墓石の撤去を行います。その後、管理者へ墓地を返還します。

8.移転先へ納骨する

墓地を返還したら、取り出した遺骨を新しい移転先へ納骨します。

新しい墓石を建立する場合は、納骨にあわせて開眼供養を行うことがあります

一方、納骨堂や樹木葬、合祀墓など、個別の墓石を建立しない納骨先では、一般的な墓石の開眼供養を行わない場合があります。ただし、施設や宗派によって納骨時の法要や供養を行うこともあるため、事前に確認しておきましょう。

また、改葬先で開眼供養などの法要を行う場合は、僧侶へのお布施が必要になります。金額の目安や、供養を行うかどうかは宗派や寺院、改葬先によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。

墓じまい・改葬にかかる費用

墓じまい・改葬にかかる費用はケースによって大きく異なるため、事前にそれぞれの費用を確認し、総額を把握しておくことが大切です。

墓じまいにかかる主な費用

墓じまいにかかる主な費用は、次のとおりです。

【墓石の撤去・処分費】
現在のお墓を解体・撤去し、墓所を更地に戻すための費用です。10万~50万円程度が一つの目安ですが、墓石の大きさや墓所の広さ、立地条件などによって異なります。石材店などの撤去業者に支払います。

【閉眼供養のお布施(行う場合)】
墓石を撤去する前の閉眼供養を行う場合は、僧侶へのお布施が必要になります。3万~10万円程度が一つの目安ですが、宗派や寺院などによっても異なるため事前に確認しておきましょう。

【離檀料(必要な場合)】
現在のお墓が寺院墓地にあり、墓じまいに伴って離檀する場合は、寺院との間で離檀料について確認が必要になることがあります。金額に決まった基準はなく、寺院によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

改葬にかかる主な費用

改葬にかかる主な費用は、次のとおりです。

【各種手続き費用】
改葬許可申請や、埋蔵証明書、改葬先の受入証明書などの取得には、数百円〜数千円の手数料がかかる場合があります。自治体や墓地・霊園によっても異なるため、事前に確認しておきましょう。

【改葬先の費用(墓地・納骨堂・樹木葬など)】
遺骨を移した先のお墓や納骨施設を利用するための費用です。

改葬先によって必要な費用は大きく異なります。2025年に公表された鎌倉新書の調査によると、2024年に購入されたお墓の平均購入価格は、一般墓が155.7万円、納骨堂が79.3万円、樹木葬が67.8万円でした。

一般墓では、墓石代や工事費、土地の使用料などが含まれる一方、納骨堂や樹木葬では墓石を新たに建立しないため、一般墓とは費用の構成が異なります。ただし、料金に含まれる内容や年間管理料の有無などは施設によって異なるため、単純に比較することはできません。

合祀墓は、個別の墓石を建立しないため、一般墓などに比べて費用を抑えられる場合があります。ただし、料金体系は施設によって異なるため、初期費用だけでなく、納骨料や管理料、法要にかかる費用なども含めて確認することが大切です。

【納骨費用】
改葬先へ遺骨を納める際には、納骨作業費や納骨法要のお布施などが必要になる場合があります。また、納骨堂や樹木葬、合祀墓などでは、納骨料や手数料が設定されていることもあります。

ただし、費用の設定は改葬先によって異なり、納骨にかかる費用が施設の利用料に含まれている場合もあります。契約前に、納骨に必要な費用が料金に含まれているかを確認しておきましょう。

【開眼供養のお布施(行う場合)】
新しい墓石を建立する場合など、改葬先で開眼供養を行う場合は、僧侶へのお布施が必要になります。3万~10万円程度が一つの目安ですが、宗派や寺院などによって異なります。

墓じまい・改葬は、事前に費用や手続きを確認しておこう(まとめ)

「墓じまい」は、現在のお墓を撤去して墓所を返還することで、「改葬」はお墓に納められている遺骨を別のお墓や納骨堂などへ移すことをいいます。

遠方にある実家のお墓を管理し続けることが難しい場合は、無理に管理を続けるのではなく、墓じまいや改葬を含め、今後のお墓のあり方を家族で考えてみることも選択肢の一つです。

また、墓じまい・改葬を行う際は、墓石の撤去費用や供養のお布施、改葬先の費用など、さまざまな費用が発生する場合があります。必要な手続きや費用は、墓地の種類や改葬先によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。

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