葬儀の知識

家族葬でも菩提寺への連絡は必要?檀家としての作法と、遠方の場合の進め方

2026/8/21作成

日本では信教の自由が認められており、特定の宗教を信仰することが義務付けられているわけではありません。一方で、葬儀は仏式で行われることが多く、菩提寺と檀家としての関係を持つ家庭も多いです。 近年は、宗教観の多様化や菩提寺との関係の希薄化などから、 「家族葬なら菩提寺に連絡しなくてもいいの?」 「家族だけで葬儀を行う場合、菩提寺にはどう対応すればいい?」 と疑問に思う方も少なくありません。 そこで今回は、家族葬における菩提寺との関係や、檀家として知っておきたいマナー、菩提寺が遠方にある場合の進め方について詳しく解説します。

目 次

そもそも菩提寺とは?檀家との関係を知っておこう

最初に、「菩提寺」や「檀家」が、何を意味するのかを確認しておきましょう。

菩提寺(ぼだいじ)とは

菩提寺とは、先祖代々の供養や法要を執り行うことを、その家が定めているお寺のことです。

もし、「いつも決まったお寺に法要をお願いしている」「先祖代々のお墓がある」というように、代々その家とつながりのあるお寺があれば、そのお寺が菩提寺にあたります。

檀家(だんか)とは

檀家とは、特定のお寺に所属し、その寺院を経済的・精神的に支える家のことです。

檀家と寺院は、葬儀や先祖の供養、法要などを通して、継続的な関係を築いています。

家族葬でも菩提寺への連絡は必要?

家族葬とは、家族や親族、親しい方など、限られた参列者で執り行う葬儀のことです。

しかし、「家族だけの葬儀だから寺院を呼ばなくてもよい」とは限りません。そのため、菩提寺がある場合は、家族葬であっても、まずは菩提寺に連絡をして、葬儀について相談することが大切です。

特に、菩提寺に先祖代々のお墓がある場合、菩提寺に相談せずに葬儀を行ってしまうと、葬儀後に「お墓に納骨できない」などのトラブルにつながる可能性があります。

また、菩提寺に相談せず、別の寺院に葬儀を依頼することも、後々のトラブルの原因になる可能性があるため避けたほうがよいでしょう。

家族葬をする際、いつ菩提寺へ連絡する?

家族葬をする際、菩提寺に連絡するタイミングは、できるだけ早いほうがよいでしょう。

遅くとも、葬儀の日程を決める前には連絡することをおすすめします。葬儀の日程を決める際には、火葬場の空き状況や家族の都合だけでなく、菩提寺の僧侶の予定も確認する必要があるためです。

具体的には、ご逝去後、ご遺体を安置し、葬儀社との打ち合わせを行うタイミングで、菩提寺に連絡するケースが多くなっています。

菩提寺に連絡するときに伝えること

菩提寺に連絡する際は、まず次のことをお伝えしましょう。

・故人の氏名
・亡くなった日時
・喪主の氏名

そのうえで、家族葬を予定していることを伝え、葬儀の日程や場所、僧侶にお越しいただけるかなどについて相談しましょう。

なお、葬儀の日程は、僧侶の都合やご家族のご都合、火葬場の空き状況などを踏まえて、総合的に決める必要があります。


【菩提寺への電話 例文】
いつもお世話になっております。〇〇家の〇〇(氏名)です。
このたび、〇月〇日に父が亡くなりました。

葬儀は家族葬を予定しておりますが、どのように進めればよいでしょうか。

葬儀の日程や場所、僧侶にお越しいただけるかについても、ご相談させていただければと思います。

お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。


 

菩提寺が遠方にある場合はどうする?

故人が、実家から離れた場所で暮らしていた場合などには、菩提寺が遠方にあることも考えられます。菩提寺が遠方の場合は、どのような対応が望ましいのでしょうか。

遠方でもまずは菩提寺に相談する

「遠いから来てもらえないだろう」と自己判断せず、まずは菩提寺に相談しましょう。遠方であっても、菩提寺の僧侶が葬儀に出向いてくれる場合があります。

また、葬儀に立ち会うことが難しい場合でも、菩提寺によっては、同じ宗派の近隣の寺院を紹介してくれるなど、対応方法を提案してもらえる場合があります。

菩提寺の僧侶が葬儀に立ち会える場合

菩提寺の僧侶が葬儀に立ち会える場合は、僧侶の予定や移動、宿泊などについて確認しましょう。

【葬儀日程の確認】
僧侶の予定を確認したうえで、葬儀の日程を調整します。

【移動手段の確認】
新幹線や飛行機など、僧侶の移動手段について確認します。必要に応じて、交通手段の手配を誰がするかについても確認しましょう。

【宿泊の必要性の確認】
宿泊が必要かどうかを確認します。必要に応じて、宿泊先の手配を誰がするかについても確認しましょう。

【お布施・費用の確認】
僧侶には、通常のお布施のほかに、遠方からお越しいただく場合は御車代や、会食に参加されない場合の御膳料などをお渡しすることがあります。また、宿泊が必要な場合は、宿泊にかかる費用についても確認しておきましょう。

交通手段や宿泊先については、喪主側が手配するのか、僧侶自身で手配するのかを確認します。その上で、僧侶自身で手配する場合は、必要な費用を別途お包みするのが一般的です。

これらの費用や手配方法は、寺院や状況によって異なるため、事前に菩提寺へ確認しておくと安心です。

菩提寺の僧侶が葬儀に立ち会えない場合

菩提寺の僧侶が遠方で葬儀に立ち会えない場合も、自己判断で別の寺院を探すことはせず、まずは、菩提寺に近隣の寺院を紹介してもらえるかなどを相談してみましょう

紹介してもらえる場合は、紹介を受けた僧侶に、葬儀での読経や戒名授与などをお願いできるか確認します。

近隣の寺院を紹介してもらえない場合は、菩提寺に了承を得た上で、葬儀社に近隣にある同じ宗派の寺院を紹介してもらえないか相談してみましょう。

菩提寺とは、葬儀だけでなく、納骨や法要など、その後の供養でも関わっていくことが基本です。そのため、菩提寺の僧侶が葬儀に立ち会えない場合でも、葬儀後の納骨や法要についてあわせて相談しておきましょう

菩提寺に連絡せず、別の寺院で家族葬をするとどうなる?

菩提寺に相談せず、別の寺院に葬儀での読経や戒名授与を依頼した場合、寺院によっては、葬儀の経緯や戒名などについて確認を求められたり、納骨を受け入れてもらえなかったりする場合があります

また、菩提寺とは、葬儀後の法要などでも関わっていくことが基本です。そのため、葬儀を別の寺院に依頼することで、納骨だけでなく、その後の法要にも影響が出る可能性があります

すでに別の寺院に依頼して葬儀を行なってしまった場合

すでに別の寺院に依頼して葬儀を行ってしまった場合は、まず菩提寺に事情を説明し、今後の納骨や法要について相談しましょう。

菩提寺によっては、あらためて戒名を授けるなどの対応が必要になる場合もあります。その場合は、別途お布施が必要になることもあるため、費用についても確認しておきましょう。

家族葬で菩提寺に依頼する場合の作法・マナー

次に、家族葬で菩提寺に依頼する際に、気をつけたい作法・マナーをご紹介します。

家族葬であることを事前に伝える

菩提寺に連絡する際は、家族や親族など限られた参列者で家族葬を行う予定であることを、事前に伝えておきましょう。

葬儀日程は菩提寺の予定も考慮する

家族葬に限らずですが、葬儀日程は、菩提寺の予定も考慮する必要があるため、菩提寺への連絡は、葬儀日程を決める前に行いましょう。

菩提寺のご予定、ご家族のご都合、火葬場の空き状況などを踏まえて、日程を調整します。

戒名について相談する

仏式の葬儀では、僧侶から戒名を授かることが一般的です。

戒名の種類や考え方、授与の方法などは宗派や寺院によって異なるため、事前に相談しておくと安心です。

また、戒名のランクによってお布施の金額が異なる場合もあるため、費用についてもあわせて確認しておきましょう。

お布施や御車代・御膳料等について確認する

お布施はサービスに対する対価ではなく、僧侶への感謝や寺院へのお礼の気持ちを表すものです。

そのため、お布施の金額は宗派や地域、菩提寺との関係性などによって異なり、一律の決まりがあるわけではありません

お布施の金額について不安がある場合は、事前にいくら程度お包みするのが適切か、菩提寺に確認しておくと安心です。

また、葬儀会場が寺院以外の場所で、僧侶にお越しいただく場合は交通費として御車代を別途お渡しすることが一般的です。また、僧侶が葬儀後の会食に参加されない場合は、御膳料を別途お渡しすることもあります。これらについても、事前に金額の目安を確認しておくと安心です。

遠方から来ていただく場合の交通費・宿泊費を確認する

遠方から葬儀に立ち会っていただく場合は、交通費のほかに宿泊費が必要になることがあります。

新幹線や飛行機などの交通手段や宿泊の必要性を確認し、チケットや宿泊先の手配を誰が行うのかについても、あらかじめ相談しておきましょう。

僧侶自身で手配を行う場合は、交通費や宿泊費の負担方法を確認し、必要な費用を御車代や宿泊にかかる費用としてお渡しします。実際にかかる費用に少し上乗せしてお渡しするのが一般的ですが、金額や渡し方は寺院によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

葬儀後の法要や納骨についても確認しておく

菩提寺とは、葬儀だけで関係が終わるわけではなく、その後もお墓への納骨や四十九日法要をはじめとする各種法要でもお世話になります。そのため、葬儀後に行われる四十九日法要や納骨式の日時の希望や、必要なものなども確認しておきましょう。

家族葬でも菩提寺への連絡は忘れずに(まとめ)

家族葬は、参列者を家族や親族などに限定する葬儀形式であり、菩提寺を呼ぶかどうかとは別に考える必要があります。菩提寺がある場合は、家族葬であっても、まずは菩提寺に連絡し、葬儀の進め方について相談しましょう

また、菩提寺とは葬儀だけでなく、納骨や四十九日法要をはじめとする、その後の供養でも関わっていくことが基本です。家族葬を行う際は、葬儀だけでなく、その後の納骨や法要まで見据えて菩提寺と相談しながら進めていけるとよいでしょう。

菩提寺との関係や葬儀の進め方について不安なことがあれば、葬儀社にも相談しながら、一つひとつ確認していきましょう。

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