葬儀の知識

お墓を持たない選択肢、樹木葬・散骨・納骨堂のメリット比較

2025/9/16作成

2025/9/19更新

近年、経済的な事情や、後継者がいないなどのさまざまな理由から、お墓を持たない選択をする人が増加傾向にあります。それに伴って、いわゆる石のお墓ではない納骨先の選択肢も増えています。 そこで今回は、その中でも、自然に囲まれた環境に埋葬できる樹木葬や、屋内で管理される納骨堂、そして、遺骨を自然に撒く散骨の3つに焦点をあて、それぞれのメリットや注意点を解説したいと思います。

目 次

樹木葬・散骨・納骨堂に共通するメリット・デメリット

樹木葬・散骨・納骨堂には、共通するメリットがあります。

・一般墓に比べて費用が抑えられる
・宗旨宗派を問わない
・後継ぎがいなくても無縁墓にする心配がない

樹木葬・散骨・納骨堂はいずれも、宗旨宗派に関係なく利用することができ、一般的なお墓を建てるのに比べて費用を抑えることができます。

また、樹木葬や納骨堂であれば、お墓の管理者が永代にわたって管理・供養をしてくれる永代供養付きがほとんどですし、散骨の場合は、ご遺骨を自然界に撒くため、そもそもお墓のように拝む対象が存在しません。そのため、お墓の後継者がいない、または跡継ぎに不安がある方でも安心して利用することができます

一方で、共通するデメリットもあります。

・親族の理解を得にくい
樹木葬も散骨も納骨堂も、比較的新しい葬送方法のため、伝統や宗教を重んじる方にとっては抵抗を感じてしまう可能性があります。お墓は親族にとっても故人を偲ぶ大事な場所なので、独断では決めずに、周囲ともよく話し合って決めることが大切です。

 

このように、樹木葬・納骨堂・散骨には共通点も多いのですが、それぞれ特徴が異なり、それに伴うメリットやデメリットがあるため、次章からは、それぞれの特徴や注意点をご紹介していきたいと思います。

樹木葬の特徴とメリット・デメリット

まずは、樹木葬の特徴とメリット・デメリットです。

樹木葬とは

樹木葬とは、墓石の代わりに樹木や花などを墓標とする埋葬方法です。1人または家族単位で埋葬できる「個人墓」や、一本のシンボルツリーの下にたくさんの方の遺骨を混ぜて埋葬する「合祀墓」同じく一本のシンボルツリーの下に、たくさんの遺骨を個別に埋葬する「集合墓」があり、それぞれ費用が異なります。

合祀墓と集合墓はシンボルツリーを共有する点は同じですが、合祀墓が、遺骨を骨壷から出して他の遺骨と混ざった状態で埋葬するのに対し、集合墓は、遺骨を遺骨袋などに入れて個別に管理しつつ一箇所に埋葬するという違いがあります。

ちなみに費用は、個人墓>集合墓>合祀墓の順で安くなります。

樹木葬の注意点

樹木葬は、最終的に土に還るものと思っている方も多いと思いますが、樹木葬によっては土に還らないケースもあります。

【土に還るケース】
ご遺骨を粉骨(パウダー状)にして布袋や土に還る素材の袋に納め、直接土中に埋葬する樹木葬

【土に還らないケース】
陶器や金属製の骨壺のまま土に埋葬する樹木葬

もし、「自然に還りたい」という理由から樹木葬を選択する場合は、遺骨を粉骨にして土中に埋葬するタイプの樹木葬を選ぶようにしましょう。

樹木葬のメリット

樹木葬のメリットは、以下の通りです。

・一般的なお墓に比べて費用を抑えられる
・宗旨宗派を問わないことがほとんど
・後継ぎがいなくても永代にわたって管理・供養してもらえる
・墓地環境は、樹木や草花が多く明るい雰囲気

【一般的なお墓に比べて費用を抑えられる】
樹木が墓標となるため、墓石を建てる費用が不要で、一般的なお墓に比べて一人当たりの埋葬スペースも狭い傾向にあるため、費用を抑えることができます。

【宗旨宗派を問わないことがほとんど】
宗教や宗派に関係なく利用できる樹木葬がほとんどなので、どなたでも利用することができます。

【後継ぎがいなくても永代にわたって管理・供養してもらえる】
管理者である霊園や寺院が永続的に管理・供養をしてくれる樹木葬がほとんどなので、後継者がいないなどお墓の後継ぎに不安がある方も、無縁墓になる心配がありません。

【樹木や草花が多く明るい雰囲気】
樹木や花を墓標にするため、一般的なお墓に比べて、墓地は明るい雰囲気です。「自然の溢れる場所で眠りたい」「家族に明るい気持ちでお墓参りをしてほしい」といった希望がある方に向いています。

樹木葬のデメリット

一方、デメリットもあります。

・親族の合意を得にくい
・墓標となる木が枯れてしまう可能性もある
・ご遺骨を取り出したいと思った時に取り出せない場合がある
・個人墓以外は個別のお参りができない
・アクセスが不便なことが多い

【親族の合意を得にくい】
樹木葬はまだ新しい埋葬方法のため、家族や親族の反対にあう可能性も考えられます。

【墓標となる木が枯れてしまう可能性もある】
植物を墓標とするため、枯れるリスクも考えておく必要があります。

【ご遺骨を取り出したいと思った時に取り出せない場合がある】
最終的に土に還る樹木葬や、不特定多数のご遺骨を混ぜて埋葬する合祀墓タイプの樹木葬を選択した場合、後からご遺骨を取り出したいと思っても取り出せなくなってしまいます。

【個人墓以外は個別のお参りができない】
樹木葬の中でも合祀墓や集合墓は、不特定多数のご遺骨と墓標となるシンボルツリーを共有しているため、個別のお参りができません。

【アクセスが不便なことが多い】
樹木葬は、自然に囲まれた場所にあるため、交通アクセスが不便な場所にあることが多くなっています。

樹木葬の費用相場

樹木葬の費用相場は以下のとおりです。

合祀墓:5万円~30万円程度
集合墓:20万円~100万円程度
個別墓:50万円~150万円程度

埋葬人数、墓地の立地、銘板を設置するかなどの条件によっても費用が変動します。

散骨の特徴とメリット・デメリット

次に、散骨の特徴とメリット・デメリットをご紹介します。

散骨とは

散骨とは、火葬後のご遺骨をパウダー状にし、海や山、森林などの自然に撒いて供養する埋葬方法で、近年、自然に還る供養として注目されています。

海洋散骨や山林散骨が一般的ですが、遺骨を宇宙に撒く宇宙散骨や、ヘリコプターやバルーンなどを使って空中に撒く空中散骨などもあります。ちなみに、散骨をするためにはご遺骨をパウダー状にする粉骨が必要ですが、粉骨は専門業者に任せることが一般的です。

散骨が他の埋葬方法と決定的に異なるのは、一度散骨したら、ご遺骨が後に残らない点にあります。そのため、お墓のように故人を偲ぶ場所が欲しいという場合には、自宅に小さな供養スペースを作ったり、納骨堂などに遺骨の一部を分骨したりする方法もあります。

散骨のメリット

散骨のメリットは、以下の通りです。

・一般的なお墓に比べて費用を抑えられる
・宗旨宗派を問わない
・お墓の維持管理が不要
・自然に還りたいという故人の希望を叶えられる

【一般的なお墓に比べて費用を抑えられる】
散骨は、墓石の購入費や墓地の年間管理料などが不要なため、一般的なお墓に比べて費用を抑えることができます。

【宗旨宗派を問わない】
宗教的な制約がなく、「自然に還りたい」という故人の遺志を尊重することができます。

【お墓の維持管理が不要】
お墓のように物理的に拝む場所がないため、お墓の維持管理にかかる手間や費用を省くことができます。

【自然に還りたいという故人の希望を叶えられる】
自然を愛し、「最期は自然に還りたい」と願う故人の希望を叶えてあげることができます。

散骨のデメリット

一方、デメリットもあります。

・親族の合意を得にくい
・遺族が後からお参りできる物理的な場所がない
・後から遺骨を取り戻せない

【親族の合意を得にくい】
散骨は、まだ新しい埋葬方法のため、家族や親族の反対にあう可能性も考えられます。

【遺族が後からお参りできる物理的な場所がない】
散骨は一度行ってしまうと遺骨が残らないため、基本的には。お墓のようにご遺族がお参りする場所がありません。

【後から遺骨を取り戻せない】
いったん散骨行ってしまうと、遺骨を手元に残したいと思っても取り戻すことができないため、周囲とも相談し納得の上で行うことが大切です。

散骨の費用相場

散骨の費用相場は、3万円台〜40万円程度と幅があります。散骨場所によっては条例に触れてしまう可能性もあるため、基本的には信頼できる業者に委託することが推奨されています。業者によってさまざまなプランがあるため、よく比較検討して依頼しましょう。

またプランによっては、ご遺骨をパウダー状にする費用が含まれていないこともあるので、プラン内容をよく確認して依頼することが大切です。

納骨堂の特徴とメリット・デメリット

次に、納骨堂の特徴とメリット・デメリットをご紹介します。

納骨堂とは

納骨堂は、建物内にご遺骨を安置するスペースが設けられている屋内施設で、ロッカーのようなスペースに骨壷を安置するロッカー式や、仏壇が設けられている仏壇式、位牌とご遺骨を安置する位牌式、最新の技術を駆使した自動搬送式などさまざまなタイプがあり、費用は、位牌式>ロッカー式>仏壇式>自動搬送式の順に高くなります。

納骨堂のメリット

納骨堂のメリットは、以下の通りです。

・一般的なお墓に比べて費用を抑えられる
・宗旨宗派を問わないことがほとんど
・後継ぎがいなくても永代にわたって管理・供養してもらえる
・アクセスしやすい場所にあることが多い
・天候に左右されずにお参りができる
・掃除などの手間が少ない

【一般的なお墓に比べて費用を抑えられる】
墓石を建てる必要がない分、費用を安く抑えることができます。

【宗旨宗派を問わないことがほとんど】
多くの納骨堂は、宗旨宗派不問のため、家族の多様なニーズに応えることができます。

【後継ぎがいなくても永代にわたって管理・供養してもらえる】
管理者に維持管理を任せられる永代供養付きの納骨堂がほとんどのため、お墓の後継者がいない場合にも、無縁墓にする心配はありません。

【アクセスしやすい場所にあることが多い】
納骨堂は屋内施設のため、他の霊園や墓地に比べてアクセスしやすい場所にあることが多いです。

【天候に左右されずにお参りができる】
屋内施設のため、天候に左右されることなくお参りすることができます。

【掃除などの手間が少ない】
屋内施設のため、屋外のお墓に比べて掃除や草むしりなどの手間が少なく管理がしやすいです。

納骨堂のデメリット

一方、デメリットもあります。

・親族の合意を得にくい
・お供え物に制限がある
・最終的には合祀されることがほとんど
・スペースに限りがある

【親族の合意を得にくい】
納骨堂は比較的新しい埋葬方法のため、家族や親族の反対にあう可能性も考えられます。

【お供え物に制限がある】
屋内施設のため、火災予防と衛生面の観点から、お線香や食べ物、生花のお供えが禁じられています。

【最終的には合祀されることがほとんど】
納骨堂では「33回忌まで」など一定の個別供養期間が過ぎたら、骨壷から遺骨が取り出され、他のご遺骨と一緒に埋葬されます。このように合祀された後は、遺骨を他の場所に移したり、一部を取り出して手元供養をしたりすることはできなくなるので注意が必要です。

【スペースに限りがある】
納骨堂では、スペースがコンパクトに設計されているため、納骨できるご遺骨の数に制限があります。

納骨堂の費用相場

納骨堂の費用相場は、以下の通りです。

位牌式:10万〜50万円程度
ロッカー式:20万〜80万円程度
仏壇式:50万〜150万円程度
自動搬送式:80万〜180万円程度

メリット・デメリットを知って後悔のない納骨先選びを(まとめ)

ご遺骨の納骨先を考える時に、「費用を抑えたい」「後継者がいなくても安心して任せられる納骨先を選びたい」と希望する方に人気が高いのが、樹木葬や散骨、納骨堂といった選択肢です。いずれも費用を抑え、無縁墓になる心配がないという共通点はあるものの、メリット・デメリットは三者三様です。

あとから「こうすればよかった」とならないためにも、特にデメリットを知り比較検討しておくことは重要です。このコラムが後悔のない納骨先選びのお役に立てれば幸いです。

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